強化洗浄のススメ

トラブルゼロへ。日新化学の挑戦!

  • 『断紙、欠点を根元から断つ!
     見えない工程内の強化洗浄によりデポジット問題を解決する抜本的ケミカルアプローチ』


    はじめに

    紙パルプの生産現場におきまして、デポジットによるトラブルは、永遠の課題と言えます。
    デポジットとは紙パルプ製造工程のトラブルに直結する工程内の付着物のことを指しており以下の3つに大別されます。
    一つ目はピッチ(あるいはスティッキー)と呼ばれる木材由来または粘着物由来の樹脂成分であり、左下の写真にあるような、紙面欠点を発生させます。また二つ目は金属イオン由来のスケールと呼ばれるもので、脱水不良や欠点の原因となります。三つ目は微生物由来のスライムと呼ばれるもので、穴あき欠点や断紙を引き起こす要因となります。これらのデポジットが紙パルプ製造工程におけるトラブルの一因となっています。


    強化洗浄①


    デポジットトラブル

    デポジット汚れの由来は、原料、用水、内添薬品などに起因し、原質工程から抄紙工程まで、様々な場所で発生して系内に蓄積し、そのたまった汚れが欠落することで様々なトラブル、すなわち、脱水不良、穴あきによる断紙や取られ欠点、乾燥性阻害、ストリークなどの問題を生じます。


    強化洗浄②


    適切な工程洗浄

    これらのデポジット対策に効果的なアプローチのひとつとして、シャットダウン時の適切な工程洗浄が挙げられます。操業を続けていくと、工程内を循環する原料、白水等に含まれる汚れ成分が系内に蓄積し、そのデポジットがある程度の量まで蓄積すると、トラブル頻発の可能性が高くなります。
    シャットダウン時に工程内をしっかりと洗浄して付着したデポジットを落とす事は、デポジットトラブルの発生を未然に防ぐ上で極めて重要です。


    強化洗浄③


    従来の工程洗浄について

    従来から紙パルプ製造工程では、工程洗浄の際に、苛性ソーダでの循環洗浄、いわゆる「苛性洗浄」が行われてきました。それは、酸性抄造時に発生しやすいアルミニウムスケールや、ロジンサイズ剤、スライムなどの有機系の汚れに対する洗浄効果が高いことから、苛性洗浄という工程洗浄方法が一般化したものと考えられます。
    しかし、現在の主流となっている中性抄造において主な汚れとなっているカルシウムスケールなどの無機汚れに対して、苛性洗浄の効果は小さく、全ての汚れに対して有効というわけではありません。


    強化洗浄④


    工程洗浄の重要性

    苛性洗浄に限らず、たとえ工程洗浄を行ったとしても、洗浄剤の種類や洗浄方法が適切でない場合には、洗浄効果が小さくなります。したがってその場合、操業日数の浅い内に、デポジットトラブル発生ラインを越え、蓄積したデポジット汚れが欠落し、デポジットトラブルを発生する確率が高くなってしまい、それによって予定外の洗浄停機など生産計画の変更を引き起こし、操業性等に対して悪影響を及ぼすこととなります。
    したがって高い生産性や品質を求めるならば、シャットダウン時に適切な洗浄剤による適切な洗浄方法を選択する必要があります。


    強化洗浄⑤


    最適な工程洗浄剤の選び方

    工程洗浄の目的、すなわち洗浄の成果である系内清浄化の状態を得るのに重要なのは、最適な洗浄剤や洗浄方法を選択することです。 デポジット汚れも一つの成分だけではなく、様々な物質で構成された複合的な汚れであることがほとんどです。見えない工程内に付着したデポジットが、どのような成分で、どのくらい付着し、どの箇所に付着しているか分からないと、問題を解決する事が難しくなるため、入念な状況確認が必要となります。
    弊社は、過去のデポジット問題を解決した事例をデータベース化しており、それと照らし合わせて最適な洗浄方法を検討し対策を提案しています。


    強化洗浄⑥


    改善事例『コントロールM』

    某製紙工場のコーターマシンでは、カラー塗工工程に付着した炭酸カルシウムスケール汚れに対し、従来から苛性ソーダとキレート剤を併用し洗浄していました。しかし十分には洗浄できず、系内にはスケール汚れが残存しており、その為シャットダウン時に定期的に配管を外して高圧洗浄を行うなど、多くの労力と手間が必要になる問題がありました。
    この問題を解決するため、酸性洗浄剤コントロールMを使用し循環洗浄を実施すると、炭酸カルシウムと強く反応して、スケールを取り除くことに成功し、カラー凝集物の欠落による欠陥問題を解消するに至りました。


    強化洗浄⑦


    系内清浄化

    断紙、欠点の問題を解決するには、デポジットコントロール剤の連続添加による抑制処理を行う事に加え、定期的かつ最適な方法での工程洗浄を行うことが重要と弊社は考えております。 安定操業、低コストかつ高品質な生産を実現するためには、定修時などの工程洗浄時に見えない場所の汚れを根こそぎ除去する必要があります。
    弊社は、洗浄液の分析などによって、こうした取り組みの有効性を評価し、必要に応じてより良い洗浄方法を追及し最適化を進めております。


    強化洗浄⑧


    弊社、日新化学研究所は、製紙業界のさらなる発展に貢献すべく、今後も生産現場のお悩みを解決するケミカルアシスタントとして、開発、ご提案を続けていく所存でございます。 工程内の汚れでお困り事などございましたら、お気軽にお問合せください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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